近江寫眞機店の店長です。
本日はNikon F4のレビューをしていきます。
Nikon F4について
1988年より販売がスタートしたF一桁シリーズ初のAF搭載機がこのF4です。
AF機構の搭載に伴い大型化され、それに伴う重量増を抑えるためエンジニアリングプラスチックが多用されています。
このカメラもまた鬼才ジウジアーロがデザインを担当しており、エルゴノミクスデザインを強く意識したものとなっています。
スペック
B,4s-1/8000s
シャッター機構:
電子制御縦走フォーカルプレーンシャッター
露出制御:
・PH(高速ブログラムAE)
・P(標準プログラムAE)
・S(シャッタースピード優先AE)
・A(絞り優先AE)
・M(マニュアル)
測光方式:
・TTLマルチパターン測光
・TTLスポット切替測光
ファインダー視野率/倍率:
・約100%/約0.75倍
Nikon Fマウント(AF接点搭載)
対応レンズ:
・CPU内蔵AFニッコール
・CPU内蔵AI-Pニッコール(一部機能不可)
・AI/AI-Sニッコール(A,Mでのみ使用可)
・F3AFレンズ
・非AIレンズ(絞込み測光のみ使用可)
重量:
・F4 1,090g(電池除く)
・F4S 1,280g(電池除く)
・F4E 1,400g(電池除く)
操作感
ダイヤル周り:
沢山のダイヤルやレバーが並んだ軍艦部からもわかる通り、MF時代のモデル使用感同様なアナログ方式での操作が基本となります。F3以前の機械を使ったことがある人ならスムーズに使えるように思います。
電源ボタン兼ドライブの選択はロックボタンを押しながらとなるのでやや操作が難しく感じます。
ダイヤルを回すのが好きな人には楽しいところですが、露出補正ダイヤルやシャッタースピードダイヤルにロックはあるものの、露出制御レバーにはロックがなく稀に思わぬ露出制御になることがあります。
全体にですが、文字類が印字なので経年劣化で薄くなったり、使用により消えてしまったり視認性が悪くなる場合もあります。
ファインダー及びAF機構:
明るく大きなファインダーで、ピントの山もかなり掴みやすいように感じます。
液晶表示によりシャッタースピードや露出補正など様々な情報がファインダー内で確認できるのでスムーズな撮影が可能となっています。
ファインダー中央下部に小さな影(ミラーを抑えている金具がスクリーン上に映り込んでいるため)が映る点は気になる方が多いようです。
AFは当時としては精度も高く、かなり早いものだと思います。が、現代においてはとてもスローリーでゆとりを持った撮影に向いているように思います。MFでの使用がスムーズです。
フィルムの装填:
基本的に置くだけで装填が可能なので、簡単に失敗なく装填でき初心者の方も安心して使えると思います。巻上げ中は巻上げノブが回転するのが見えるので途中でも巻けているかの確認ができると思います。
フィルムの取出し:
R1,R2のレバーを同時に倒すことで自動的に巻き戻ります。電池切れの際も手動での巻上げが可能なところはさすがニコンです。
重量感:
通常のモデルでも1kgあるので大きなレンズなどをつけるとかなり疲れる重さとなります。
F4SやF4Eでは本体の重さに単三電池6本分(約140g)の重さがプラスされるので中々大変なものとなります。
比較としてFM2は約540g、F3HPは約760gとこれをみても結構な重さなのがわかると思います。F4EなんてF3の約2台分ですからね…
質感:
全体的にプラスチックなのでお世辞にも良いものではありません。
ロゴなど各文字類もプリントなので刻印になっている他のF一桁機に比べると見劣りするところだと思います。
市場に出回っているものの多くが経年変化でプラスチックのテカリが出ていたり、落下でひび割れたりと状態の良いものが少ないように思います。
私的感想
ここまでF4についての操作感などを書いてきましたが、正直なところF4が不人気カメラとされているのも理由があるなと思ってきますよね。
しかし、でも、だって!不人気なんてことはどうでもいいんです。
実際にこの機械を使うとあら不思議。ファインダーから見える景色も「スン」としていて、今にもいい写真が撮れそうじゃありませんか!と撮影者の視覚に訴えかけてくれるような気さえします。
F3やF5よりも個人的にはピントもわかりやすく、良いファインダーだと感じることが多い!
操作感もごっちゃごちゃしたダイヤルを回すのが楽しいし(基本的にはAモードしか使わないので回さない)、ややキレのないシャッターフィールがダルな90年代を感じれて良い。何より形もかっこいい。
さらになんてたって、装備換装で進化できる!男の子ごころをくすぐるじゃあないですか。
「今日の気分はフルアーマーだ、F4Eだ!」なんて撮影に出かける前から既に楽しい。
(正直、いろいろ換装しても結局重たいから普通のF4で出かけるんですけどね。)
使い勝手が良いか悪いかで言えば、めちゃくちゃ重いのでよくはない。でも、使っていてすごく楽しいカメラということははっきりしている!そう思います。
F4購入時の注意点
・ファインダーの端子折れ
ファインダー側の端子の形状が悪く装着の仕方が悪いと折れるようです。
購入時は端子が全て揃っていることを確認しましょう。
・ファインダーの液晶表示の状態
液晶画面が黒っぽくなっている、ひびのようなものがある、表示されないなどの症状が散見されます。
購入時、ファインダーの状態確認は電池を入れてから行う方が吉です。
・プレビュー鳴き
定番のプレビュー鳴きですがここはあまり気にしなくても良いように思います。
経年変化でほぼなると思われます。鳴らないなら鳴らないほうがいいです。
・ボディのひび割れ
打痕や傷の多い個体は必ず四隅やエッジのある部分を細かく確認したほうが良いです。
購入後、ひび割れに気づいた!なんてことがないようにしましょう。
・液漏れ
単三電池で動くカメラの宿命、電池の入れっぱなしによる液漏れのあるものには注意したほうが良いです。オークションサイトやフリマサイトなどで状態がわからないものを買う場合は特に注意が必要です。
作例
-次回-
店長、Lomo LC-A Review