近江寫眞機店

渋谷区笹塚のカメラ屋さんです。 販売、買取、現像受付、カメラレンタルを行っております。 営業時間11時〜19時、月曜定休(月曜祝日の場合火曜休)

LOMO LC-A Review

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近江寫眞機店の店長です。

本日はLOMO LC-Aのレビューをしていきます。

 

LOMO LC-Aについて

COSINA CX-1(CX-2)を見つけてしまったロシアの技術者によって開発されたコンパクトカメラがこのLOMO LC-Aです。(LC-AとはLomo Compact Automatの略称)

1984年から2005年まで一度の販売休止を経て21年にも及ぶ長い期間製造販売されました。

また、現在はロモグラフィーからLC-A+が製造販売されているので、それを含めると40年近い年数製造される長寿カメラといえます。(LC-A+は製造国の違いや細かな箇所のリファインなどがあり同一機種とは言えない気もしますが)

90年代初頭にウィーンの学生二人がフリーマーケットでこのカメラを見つけたことがきっかけとなり、LC-Aのカルト的なブームが世界中に広がることになりました。

「ロモグラフィック・ソサエティ」の設立や「10ゴールデンルール」の新聞掲載、「ロモグラフィー宣言」など多くの出来事と工場への直談判による製造再開など数々の伝説がLC-Aを有名にしていきました。

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1991年製のLC-A(通称ブラックロモ)のレンズバリア閉状態

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1991年製のLC-A(通称ブラックロモ)のレンズバリア開状態

 

スペック

シャッタースピード

2s-1/500s

シャッター機構:

電子制御レンズシャッター

露出制御:

・A フルオート

・F2.8-F16マニュアル(1/60s固定)

ピント:

4点ゾーンフォーカス(0.8m,1.5m,3m,無限遠)

レンズ

MINITAR 1 32mm F2.8

フラッシュ同調:

1/60s

重量:

250g(電池除く)

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操作感

各種操作部:

巻上げ写ルンです方式のダイヤル回し式で回転感も可もなく不可もなくといったところです。

ピントレバーは軽いものから重たいものまで製造によるバラツキで多種多用です。

絞り制御レバーは簡単に動いてしまわぬよう固めになっているものが多い印象です。

ASA/ISO設定ダイヤルは力のかけ方を間違うと折れそうな作りで注意が必要、回しづらいような箇所に設置されているので撮影中に勝手に回ることなどはあまりないかと思います。

レンズバリアの開閉レバーも個体差で固いものからスムーズなものまであります。

構造上無理に動かすとバリアが壊れます。

ファインダー:

ファインダー内は下部に可愛いらしイラストのゾーンフォーカスの指標と上部に赤色の警告表示灯が二つ、それとブライトフレームがあります。

上部の警告灯は左がバッテリーランプ(消灯の場合は電池切れ)と手ぶれ警告ランプ(点灯の場合はスローシャッター)でシンプルかつわかりやすいです。

最後期モデルはゾーンフォーカスが省略され、ブライトフレームのみになっているようです。

フィルムの装填:

ごく一般的な80年代のカメラ同様のものとなっているので、しっかりと装填確認しないとたまに巻けてないこともあります。

フィルムの取出し:

巻戻しは個体差により巻戻しボタンを押し続けないといけないものもあり、ノブはプラスチックの基部が今にも折れるぞ!と主張しているくらいの心もとなさがあります。

サイズ感、重量感:

常にカバンやポケットに入れていても苦にならないコンパクトさと軽さが魅力的です。

質感:

プラスチックにちぢみ塗装のような塗装がされています。

年代によって光沢感や塗装の質が違うように感じます。塗装は比較的強いように感じます。

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ちぢみ塗装のようなシボのある外観が特徴。
塗装が剥がれると奥のLC-Aみたいにツルッとした下地が出てきます。

 

私的感想

ロモの醍醐味は個体差が激しいところです。そう思います。

何台かLC-Aを使ってきましたが、どれも写りがなんとなく?なんとなくじゃないな確実に違います。

まず、目につくのはトンネル効果の強さ。次に、ピント精度というか周辺画質の違い、色味、遮光性の違いなど、

一つとして同じ写りになってくれる個体がない。なんでない。精度が悪いからなんですけどね。

最初に使い始めたLC-A(98年くらいのもの)が壊れてしまい、2台目のLC-A(2000年代のもの)を買った時に写り違けりゃ、構造も違うじゃねーか!となった記憶があります。

今、メインで使っている個体(88年製?)もモルトを貼っても貼ってもいろんな所から光がピューピューしてくるし露出はガバガバ。それが逆にLC-Aみたいだなと思って好きなところなんですけどね。

まぁ。何がいいかって言うと。

露出もピントも、構図も光漏れもそんなものはどうでもよくて、写真の難しい話を全部突っぱねてくれるような心強さがLC-Aにはあるなっていつも思うんですよね。って話です。

ちゃんとしたカメラ使ってるんだから、ちゃんと写真は撮らなきゃいけない。っていう強迫観念というかなんと言うか、写真やっているとたまに陥る良い写真ってなんだろう。ちゃんとした写真ってなんだろうの呪縛から解き放ってくれるのがLC-Aでした。

みんなもお気に入りのLC-Aと巡り会えたらハッピーだよね。って言う所存です。

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これは91年製のLC-A。生まれ年LC-Aを使うとかっていうのもいいですよ。

 

LC-Aの豆知識

製造年:

シリアルナンバーの頭2桁が製造年の後ろ2桁になっているとされています。

例えばシリアルナンバー「8412345」であれば84年製となります。

LC-Aの違い:

大きく分けて3種類に分けられるかと思います。

『ブラックロモ』

1996年まで製造されたモデルの総称とされています。

キリル文字を使用したものやZENIT銘のものなど少しマニアックなモデルが多く見られます。

『ウィーンモデル』

1997年のロモグラフィック・ソサエティの直談判により再生産されたモデルの総称です。

ファインダーバリアのところに男の子(ロモボーイ又はロモ蔵)がいるのが特徴です。

赤や青、オレンジなんかのカラフルな色をまとったモデルがあったりもします。

LC-A+

2006年よりロモグラフィーから販売されているモデル。絞りレバーがなくなった代わりに

アクセサリーシューの増設や多重露光(MX)スイッチの追加など楽しい機能が盛り沢山になって生まれ変わっています。

数々のエディションモデルがあることも特徴の一つです。

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左上:LC-A+ 右上:ZENIT LC-A
左下:ウィーンモデル風 右下:ブラックロモ

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元にされたCOSINA CX-2と真似っこしたLOMO LC-A

 

LC-A購入時と使用時の注意点

・通電及び露出の動作

通電しないと動かないカメラです。

購入時は必ず電池を入れて、シャッターボタンを半押ししながらファインダーの左のランプが点灯していることを確認しましょう。

次に、同じようにシャッターボタンを半押しにしながら、感度ダイヤルの横の窓を指で隠して右側のランプが光ることを確認しましょう。

最後に、裏蓋を開けて明るいところに向けてシャッターを切って、レンズシャッターが開いているのを確認しましょう。

電池を入れずともシャッターは切れたような音がするので勘違いしてしまうことがあります。気をつけて!

・ファインダーの状態

正直見えていなくても構わないようなファインダーですが、ゾーンフォーカスの指針の位置がレバーの根元の数値とずれていることもあるので気になる人は気にしましょう。

・巻上げ

フィルムを入れていざ巻上げ!そんな時に巻上げが異常に重いと感じたら無理な力をかけず一旦巻戻しノブを逆回転させて、パトローネ内のフィルムに弛みを持たせてあげたりしましょう。そのまま行くと巻上げスプールが砕けます。

 

作例

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Body : LOMO LC-A(1988) Lens : Minitar-1 32/2.8 Film : Lomography CN 400

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Body : LOMO LC-A(1998) Lens : Minitar-1 32/2.8 Film : Lomography X-PRO Slide

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Body : LOMO LC-A(1988) Lens : Minitar-1 32/2.8 Film : Lomography CN 400

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Body : LOMO LC-A(1988) Lens : Minitar-1 32/2.8 Film : Kodak E100 (Cross Process)

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Body : LOMO LC-A(1991) Lens : Minitar-1 32/2.8 Film : FUJIFILM Premium 400

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Body : ZENIT LC-A(1984) Lens : Minitar-1 32/2.8 Film : Lomography CN 400

-次回-

社長、Zeiss Ikon ZM Review