近江寫眞機店の店長です。
オリンパスペンを設計したことでも知られる米谷 美久氏によりデザインされた、画期的なシステムカメラとして、1972年にデビュウしたのが小型軽量機械式一眼レフOM-1です。
米谷氏は「大きく、重く、そしてうるさい」を一眼レフの三悪として、これを徹底的に追放する開発・設計を行いました。その結果、小型化のためシャッターメカを底部に配置することで高さを抑え、エアダンパーを併用した静かなシャッターユニットなど画期的なアイデアが詰め込まれた唯一無二のカメラとなりました。
スペック
B,1s-1/1000s
シャッター機構:
機械式布幕横走フォーカルプレーンシャッター
露出制御:
機械式のためマニュアルのみ
測光方式:
ファインダー視野率/倍率:
・約97%/約0.92倍
OLYMPUS OMマウント
対応レンズ:
OMマウントレンズ全般
重量:
・510g
※参考 枻出版 オリンパスのすべて
操作感
ボタン・ダイヤル周り:
レンズと同心円状に配置されたシャッターダイヤルのおかげで、左手だけでシャッタースピード・ピント・絞りを操作できスムーズな撮影が可能となります。
しかしながら、他メーカーのカメラを使っていると最初は戸惑うかもしれません。
ファインダー:
広く明るいファインダーでピントの山も掴みやすく使いやすいです。
14種類の交換スクリーンで好みや用途に合わせて、使い勝手を変更することが可能です。
露出計は左下に小さく配置されており、構図の妨げにはならないよう配慮されています。
露出計は指針式なので暗所などでは視認しづらくなります。
フィルムの装填:
オーソドックスな方式でスムーズなフィルム装填が可能です。
フィルムの取出し:
底面ボタンではなくM型ライカの様にボディ全面に巻戻しレバーが配置されています。
レバーを倒して巻戻しを行います。抵抗感も少なくスムーズに巻戻しが可能です。
重量感:
初めてのカメラとして人気の「ASAHI PENTAX SP(約640g)」と比べても100g近く軽いので比較的重さを感じず使用できると思います。
質感:
機械がぎゅっと凝縮されたような満足感を感じられる機械だと思います。
シルバーボディの質感も落ち着いたサラサラシルバーで気品を感じます。
ブラックペイントは丁寧な塗りの重い黒が魅力的です。ペイントの剥がれを楽しみつつ使い込んで育てていくことも楽しめます。
私的感想
このカメラ、まずカタチが綺麗です。良いカタチです。
ピシっと張った面構成になんだか品を感じる線、何とも淑女のような面持ちです。
このカメラ、つぎにファインダーから見える景色が綺麗です。良い景色です。
50mmのレンズを付けた時、目で見る景色と同じ様に見えるように感じます。目で見る世界がファインダーの中に広がるってファインダー実はそんなにないように思います。
このカメラ、最後に音が優しいです。良い音です。
クシュンとした柔らかいシャッターとミラーの優しい音を感じられます。心地の良いカメラです。(後期型等ではカチンとしたシャッター音に変わってしまっている…)
はい。という事でここまでOM-1について書いてきました。
米谷さんのなんだろう哲学と優しさが詰まっている感がありますよね。
改めてOM-1を触っていたら、昔々写真を始めた頃に「格好の良いカメラだなぁ」と憧れたことを思い出しました。
でも、何にも知らなかったので「すごいシャッタースピードが1600まである!」みたいに思ったりしましたね。(だってそこは普通シャッタースピードがあるところじゃない。)
最初に見たときから今の今まで、やっぱりいいカメラだなぁと言う感想は変わらないのでOM-1はいいカメラなんでしょうね。
OM-1の豆知識
当初、「M-1」と言う名で販売されていましたが、1972年9月のフォトキナにてライツから「Mは困る」と申し入れがありその場にて即断で「OM-1」と名称が改められたそうです。
それ故「M-1」はわずか5千台の生産でコレクターズアイテムとなっていたりします。
OM-1購入時の注意点
・種類
OM-1は微妙なマイナーチェンジが行われています。
MDのバッチがついたものは底面にモータードライブ用の接点が設けられており、モータードライブの使用が可能になっています。バッチ無しのモデルでも底面に接点が設けられているものもあるので、モータードライブを使用したい場合は底面を確認にして接点があるものにするのが良いと思います。
1979年から発売されている専用ストロボTシリーズに対応したOM-1Nというものも販売されています。こちらは巻上げレバーなど意匠の変更もみられます。
・露出
使用する電池が現在は販売されていない水銀電池(MR9)なので、アダプターなどを使用してSR44もしくはLR44を使用する必要があります。
また、液漏れしてしまっている個体だと場合によっては内部の腐食が酷くなっていることもあるので要注意です。
・各種レバーの破損
樹脂部品がとにかく弱いです。
セルフタイマーや電源スイッチ、巻上げレバーの樹脂部分などが割れてボロボロっと落ちてしまうことが多々あります。ヒビなどあるものは要注意です。
・ファインダー(プリズム)劣化
プリズムを抑えている部材の劣化により、ファインダー内下部からモヤモヤっとした腐食が出ている個体が多数です。
プリズム載せ替えで修理が可能ですが、購入時は一応チェックして見たほうが良いポイントです。
・ホットシュー下の腐食
別売のシューアダプタを装着することでフラッシュの装着が可能だったため、多くの個体がシューアダプタを装着しています。
シューアダプタの下のラバー状の部品が経年劣化しボディを腐食させてしまっているものが多いです。
購入時は、シューの下を確認しましょう。
作例